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TRIOで倉俣史郎の「ミスブランチ」を観てきました

2024.06.23

TRIOで倉俣史郎の「ミスブランチ」を観てきました

その作品が誕生したのは1988年
宙に浮かぶバラを永遠に閉じ込めたような、
ポエティックな椅子が発表されました。

この作品はどうしても一度観たかったものでした。

倉俣氏は、テネシー・ウィリアムズの戯曲「欲望という名の電車」でヴィヴィアン・リーが演じたブランチを念頭に置いて作られました。

制作にあたり、最初は生花の使用を考えたそうなのですが、熱を持った液体状のアクリルを流し込むとはなは黒く焦げ、形が崩れてしまうので造花を使用する事にしました。

一言に造花といっても、倉俣氏が望むバラの在り方を見いだすのにはたいへん苦労したそうです。最終的に選ばれたのは、アクリルに投入しても色や形が失わない最も安値のホンコンフラワーが選ばれました。あらゆる造花を試した中でホンコンフラワーが一番イメージに近いという事に落ち着きました。

倉俣氏は最初は生花が投入できない事に悔やんだそうなのですが、初作が完成する頃には造花で良かったのだと口にしていました。

なぜなら「要望という名の電車」は、嘘を重ねるブランチが嘘によって全てを失う物語だからなのです。

私も作品を見ながら、1988年バブル景気のまっただ中にある時代の虚実を投入したかったのかと思いました。

倉俣史朗が手がけたインテリアデザインの数々は残念ながらほとんどが失われてしまいましたが、1988年にデザインした静岡市にある伝説のバー「COMBLÉ(コンブレ)」が最近営業を再開したようです。