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源光庵
2025.04.11源光庵
春の京都を訪れた私は、その喧騒を少し離れ、静かなひとときを求めて、ずっと心に秘めていた源光庵へと足を運びました。
春の京都といえば、どこもかしこも人で溢れかえりますが、ここは別世界。訪れる人もまばらで、私を含めてわずか3組ほど。穏やかな空気が辺りを包み、ゆったりと心を解き放つことができました。
境内では、ひとりの外国人の女性が庭に向かって静かに座禅を組んでいました。その姿は、時が止まったかのような美しさで、この場所が与えてくれる特別な時間を象徴しているようでした。庭の片隅には、遠くに一本の桜の木が控えめに花を咲かせています。派手さはなくとも、そのひっそりとした佇まいが、かえって心に深く響くのです。秋にはきっと紅葉が鮮やかに染まり、華やかな色彩で彩られるのでしょう。でも、この春の静寂の中、飾らない風景にただ一本の桜がそっと寄り添う様子は、華やぎに満ちた京都のイメージとは異なる、隠れた魅力を持つお寺だと感じました。
次に訪れる機会があれば、源光庵で出会った印象深い掛け軸のお話をぜひお伝えしたいと思います。
